箸はともかく棒にはひっかかりたい

とある大学教員によるいろいろなメモ書き

行く2019年と来る2020年の話

ザワです。今年もよろしくお願いします。

仕事が始まってもう2週間経とうとしていますが、この度も例に違わず、2019年の振り返りつつ2020年の抱負について書き残しておこうと思います。

個人的には年末年始にやるこの「1年を振り返る作業」ってかなり大切な儀式になっていて「過去は過去として手放せてしまう感覚」がなんだか良いんですよね。日頃は色々とずるずる考え続けちゃうことが多いんですけど、暦の節目を言い訳にして「ここで一区切りね」ってできちゃうところが画期的というか。

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おみくじは大吉でした!幸先が良いぞ〜!

2019年は、なんとも総括しづらい1年でした。いろいろあったな〜という感じなのですが、無理矢理まとめるなら「ずっと何か考えていた1年」でした。

2019年:向き合い、考え続けた1年

20代後半になってから、割と世の中の問題とか課題が見えてくるようになって、そしてここ1-2年くらいでは物事を多面的に見る力が少しずつ養われてきて。これらの変化は、私にとって「人間としての成熟」を感じさせてくれて、とても嬉しかったです。

なぜそんなことが嬉しかったかというと、私自身が「物事をいろんな角度から見られるようになれば、真実(あるいは最適解)がわかるようになる」って、思っていたからなんですね。

たとえばこの世には、世界情勢の話から個人の人間関係に至るまで、たくさんの問題が存在していて。そのせいで、多くの人が困ったり、傷付いたりしている。これ以上自分自身が傷付かないために、または誰かを傷付けないために、そして個々人が自分の望む人生を全うできるようにするためには、そういった問題を可能な限り減らして、少しでも生きやすい世界にすることが大事なんじゃないかなって。そのためには、私自身、多くの人にとってできる限り公平かつ公正な判断ができる「まっとうな人間」でありたいな、と。いや、そうあるべきだと思っていて。

そんな背景や正義感のようなものが私にはあったので、2019年の1年間は特に、何か問題が明るみになった時には、必ず「いろんな角度から見て本質を理解し、その上で解決策を考えてみる」ことを試みてきました。

なのですが、いざ実践してみると「考えれば考えるほど、正解がわからなくなるし、理解できないことが増えていく」ということを、強く思い知らされました。

もしこれが研究の話だったら、実験や観察等によって得られた客観的な事実に基づいて、そのデータを説明しうる確からしい仮説を提示できればそれでOKかも知れない。でも、人間活動を対象とした時には、個人、あるいは置かれている環境によって、見えている「事実」にバラツキがあるだけでなく、信じたい「真実」も違うし、そこに更に「感情」という不確定要素が介入してきたりして。

複雑な問題に対して、自分なりの意見や行動指針を持ちたくても「でも、一概にはそう言えないよね?」「そもそもこうなった理由って何なんだろう?」「どうしてこういう感情を抱くんだろう?そんな必要性があるのか?」「人間って何なの?」と、私の中での「問い」のようなものが、どんどん深く、あるいは、発散していってしまって。

私たちにとって影響力が強そうな問題であるほど、解決したい気持ちが強ければ強いほど、答えを出すことの難しさに、頭を悩ませていたように思います。いっそのこと「こういうものなのだから仕方ないよね」と、諦めてしまえればその方が楽なのでは?と、思うこともしばしばありました。

けれど、たとえ解決し難い問題に直面してしまったとしても、自分の中で(時には他者の力も借りて)考えれば考えただけ、物事の輪郭や全体像がつかめていく感覚とか、解像度が増していく面白さとか、常識と思い込んでしまっていたあらゆる呪縛から自由になれる開放感というものには、何物にも代えがたい価値があるんじゃないかとも私は感じていて。一生「変わることのない絶対的な価値観」の殻に閉じこもって生きていくよりも、全てが流動的なこの世界の中で、その都度自分の価値観を再考できる余地のある私たちの方が、どれだけしなやかに生きていけるだろうか!って、そういう風にも思えてきたんですね。

だからきっと私は、今後もこうやって考えたり悩んだりモヤモヤしたりすることは変わらないし、多分そういう営みは一生続いていくのだろうけど、何だか今までとは違う「覚悟」がついてきたような気がしています。簡単に答えが出せないこと、納得できないこと、帰属できる思想がないこと、自分だけが取り残されて先に進めていないんじゃないかって感じて辛くなってしまうこと、それゆえに自分に自信が持てないこと・・・自分を不安な気持ちにさせてしまう要素はたくさんあるけど、もうそれでいいのかなって。定まらなくても、まあいいんじゃない?きっとそういうものなんだからって、思えるようになってきました。

仕事:奔走している間に終わった2年目

2019年は、前述したようなことで悩みまくっていたせいか、イマイチ研究に勤しめなかった、集中できなかったという側面がありますね。でも、その割にはそれなりにアクティブに働いたんじゃないかななあ、という自己評価です。

まず一番大変(でもめちゃめちゃ楽しかった)のは、国際シンポジウムのオーガナイザーを務めたことですかね。労力や割いた時間等を考えるとお金発生してもいいんじゃないの?!と思うくらい働きました。参加して下さった方々が「またやりたいね」と言ってくださったので、それは非常に嬉しかったですね。

そして発表関係では、国際学会・シンポジウムでの発表(口頭2件、ポスター1件)、国内での口頭発表2件、講演1件をおこないました。それからサンプリングに2回行きました。

特記事項があるとすれば、何といっても英語を使う機会が爆増したということでしょうかね。日本語話者がラボの半数しかいなかったので、コミュニケーションを取るためには必然的に英語を使わざるを得なかったのです。そのおかげか、瞬発力(間違っていても良いからとりあえず言葉に出す力)は、それなりに付いてきたかも?という感じです。そりゃあ話せる人と比べたら全く話せない域(多分幼児レベル)だけれども、そんなことはどうでもよくて「1年前の自分よりは上達しているはず」と私は思っているのでOKということにしておきたい。

でも、研究にしろ英語にしろ、今のやり方を続けていくだけではこの先伸びにくいだろうな〜というのは、なんとなく感じていて。自分に合った次のやり方を模索していきたいなという気持ちでおります。どうやって見つけるかが大変なのだけれど…

生活:メンタルタフネス・フィジカルタフネスを目指して

今まで自分の心や身体を雑に扱ってきてしまっていた自覚があったので、今年こそは!という思いで、2019年は精神と身体の安定を保つためにいろいろと試行錯誤しました。

まず「ヤバい予感がする順番」に医者に行き始めました。案の定いろいろな問題が見つかっておりますが、今気付いてよかったのでは?と、ポジティブに解釈しています。私は手相占いでいうところの「生命線」が極端に短い(というかほぼ無い、切れてる)ので、志半ばでポックリと死んでしまわないためにも、健康に気をつかって生きていきたい。

それからホットヨガに通い始めました。今までは「ヨガとかキラキラ女子のためのものでは…?」と思って勝手に引け目を感じていたのですが、これはなかなか良いですね。何がどのように良いかというと、まず肩こりとか腰痛とか本当に楽になります。それから、鏡の前でポーズを取るという行為によって日頃の身体の歪みにも気付けるのが興味深い点です。あと、一日の中に「何も考えないようにする時間」を意図的に作るというのが、非常に良いです。私は「脳が興奮して夜眠れない」という状態にたまに置かれるのですが、ヨガに行ってポーズを取ったり瞑想したりしていると、脳が「シン…」と休まり、比較的穏やかに入眠できます。睡眠不足は私に何も良いことをもたらしてくれないので、質の良い眠りを得るためにも継続していきたい。

また、精神の安定と、生涯における幸福の絶対量を増大させるために、推しを増やすことにも挑戦しました。具体的には、ももクロ以外にもアンテナを張ってみるということをしたのですが、もう全然余裕で見つかりましたね。やっぱりね、好きなモノが増えていくのはとても良いですよね。それが有名人だろうと、友達だろうと、モノだろうと、概念だろうと、やっぱり、その好きなモノに向き合える時間が増える分、人生は豊かにできるんじゃないかと。推しが存在してくれているだけで、世界にはまだ希望がある気がするし、推しに幸せに笑って生きてもらうためならば、世界平和だって祈れるような気がしちゃうんです。だから「推し」は最高なわけです。

2020年の抱負:NEW DECADE NEW ME

2020年といえば!オリンピック・・・もありますけど、ついに、この私が、三十路になるメモリアルイヤーです!!!うわーーーい!!!!!

やっぱり何かこう、節目感がありますね〜。

私の中では、三十路って結構大きな境界だと思っていて、何かしらの、人生のテーマとか、進みたい方向性とか、そういうのが定まってくるのが30代なんじゃないかなあ、って感じているんですよね。

時代の流れとか、世の中の意見とか、いろいろな考え方や価値観が無数にあって、生き方を自分で選択できるようになった時代だからこそ、私自身はどんな人生を歩みたいのかな?長いようで短い次の10年を、どうやって過ごそうかな?っていうのを、じっくり考えないと・・・いや、考えながら行動していくのがいいかなって、思っています。未来って、今日の延長線上にあるものだしさ。やっぱりできる限りは悔いなく生きていきたいじゃない?

仕事:次の10年を見据えた経験を積むこと

仮に「研究者」という仕事を、生涯に渡り続けられるとするならば、30代でおこなう仕事というのは「自分を代表する仕事」のひとつになりえるよなと、思うわけです。実際に「そういう仕事」ができる時期は、もっと早いのかも知れないし遅いのかも知れないけれど、自分がこの先、一体何を積み上げていきたいのかを、考えて行動しようと。そう思います。

それから、自分には完璧主義のきらいがあるので、全ての仕事や作業に100%以上の力をかけたくなってしまうのですが…やりたいことも、やらなければいけないこともたくさんあるので、前述したことを考えた上で、力の配分を主体的に決められるようになりたいです。なるぞ!

生活:健康第一に過ごすこと、そして人と出会うこと

毎年言ってる気がするけど、年を取れば取るほど、やっぱり労っていかなきゃいけないな、と思いますね。自分のケアをできるのは自分しかいないから・・・自分の機嫌は自分で取れるように、そして自分の不調は自分が真っ先に気付いてあげられるように。それに気付けるゆとりを持てるようなライフスタイルを構築したい。する。

それから、最近人間関係が閉鎖的になってきた感じがするので(それはそれで居心地がいいのも事実なのですが)、新たな交友関係も持てたらいいなと思います。どのように人と出会えば良いのかよくわからなくなってきてしまった最近ですが、心と体力にゆとりがないと、そういう能動的な行動を起こしにくくなってしまうので、やっぱり健康第一で過ごす必要がありそう。

小目標:哲学対話を体験すること

ここまでの目標は一人でも達成できるのですが、最近読んだ本に載ってて、どうしても誰かと一緒にやりたいことがあって。それが「哲学対話」と呼ばれる、いろんな価値観を持った人同士で集まって、ある命題について問いを深めていくものなのです。

私は「趣味は考えることです」と言えてしまう(かもしれない)くらい、普段アレコレ考えているのですが(特にこの2年間)、一人で考えるだけでは、やっぱりちょっと限界があるんですよね。なんというか、私の脳みそでは考え及ばなかったような視点で、思考をかき混ぜられたいという願望があります。なんですけど、「対話」をおこなうためには、私以外の人間に存在していただかないと成り立たないわけです。そんなわけで、誰か一緒にやりませんか?

ハイライト:2019年に起きたイベント(自分用)

2-3月:とある学会 in Puerto Rico

とある学会に参加するために、カリブ海に浮かぶ島:プエルトリコへ行きました。そこでちょっとした事件(:業界の重鎮が私のポスターを聞きに来てくれた時に、全くしゃべれなくなってしまった)が発生したのですが、一緒に行ったポズドクさんに「自分で自分にプレッシャーをかけすぎなんじゃない?」と言われて、ハッとした。私の中に、未だに「失敗を恐れてしまっている自分」がいるんだなと。

観光中、私たち(アジア人3人)が英語で会話していたものだから「あなたたちはどこから来たの?どういう経緯で知り合ったの?」って複数人に質問されたよ。「私たちは国籍はバラバラなんだけど職場が同じで…」って何回も説明した。確かに欧米人からしたら不思議な光景なのかも知れないな〜

4-5月:科研費落ちる、一人旅をする

渾身の博打的ネタ(先行研究が一切ないけど面白くて新しい話)で出した科研費が普通に落とされて心底へこむ。GW一人旅では島根県に行きました。あらゆる縁を結んで貰おうと出雲大社に行ってきたけど、確かに新しい出会い(主に仕事関係)があったから御利益がすごい。ちなみに山陰地方初上陸でした。山陽・山陰気になるところたくさんあるのでまた行きたいな。

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いつかお礼参りに行きます!!!

6-7月:サンプリングと国際シンポジウム

サンプリングをしつつ、シンポジウムの準備で奔走していた月。扱う金額がとんでもなく高かったので緊張感がすごかったけど、ひとまず無事に終わって本当によかった。PaypalGoogleには感謝しなくてはならない。

8月:ももクロマニア(夏ライブ)参戦

メットライフドーム。言うまでもないが非常に良かった。

9月:とある大きな学会 in Gothenburg

とある学会の準備があったせいか、8月は全くと言っていいほど余裕が無く、正直なところ記憶がない。ラボ内参加者の中で、唯一ポスター発表だった学生さんが、何だか一番楽しそうにしていたのが印象的だった。普段はアレコレ言ってくる私やポスドクさんたちが、緊張して縮こまっている姿が滑稽に見えたのかも知れない。ジワる。

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チーム東アジア。これからも頑張ろうね

ちなみにこの9月の学会を皮切りに、各所での発表が目白推しとなり、嵐のように過ぎ去っていった。とりあえず9月は研究集会で1件発表しました。

10月:ももクロAEイベ参戦、からの科研費申請

ファンクラブイベントに参加するため幕張へ。3部(ももクロちゃんたちとタピる)に参加しただけだったけど、みんなオシャレで可愛かったし、女子会に盛り上がってて可愛かったし、たこ虹ちゃんのパフォーマンスも見られて可愛いかったし、嬉しかった。

科研費申請は、分野的には王道(になりうると期待しているネタ)で挑戦。今回落ちたら、スタート支援と併せて三連敗になってしまうし、研究室のお荷物にはなりたくないので、どうか通って欲しいな・・・吉報が待たれる!

11月:高校生向けに講演。お花教室に通い出す。

高校生に向けて「なぜ私がそのキャリアを選んだのか」という講演をしてきました。教訓等も交えつつ。もし聞いてみたい人がいれば連絡ください。

それから、ずっと行ってみたかったお花教室にちょいちょい通いはじめました。生花を飾るのは(主に管理の面で)ハードルが高かったので、まずはドライフラワーの飾りから。やっぱり研究以外にも何かに没頭する時間をつくるのは、とても良いです。

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これは12月に作った「クリスマスに媚びすぎないリース」。可愛く出来て大満足である。

12月:学会発表、からのももクリ参戦!

9月の研究集会での話を聞いてくださっていた方からお誘いいただき、発表してきました。自分が「おもしろいはずだ!」と思ってやった研究を、同じようにおもしろがってくれる人がいるというのは、やはり嬉しいですね。一方で、相手が自分に期待している働きと、提供できる技術知識が必ずしも一致するとは限らないので、一緒に研究をすることになったとしたら、責任ある行動をとっていかなくてはならないなと感じました。

ももクリは、果たして感想なんているんでしょうか?良いに決まっています。来年以降もたのしみです!!!

 

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以上が、2019年振り返りと、2020年の抱負でした。

みんなで良い年にしていきましょうね〜!!!

 

ザワ