箸はともかく棒にはひっかかりたい

とある大学教員によるいろいろなメモ書き

ありがとう、アンデス

ざわです。

4月の終わりごろから「あつまれどうぶつの森」をプレイしているのですが、先日、とある住人とお別れしました。

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アンデスと私。スタジオにて撮影

彼女は「アンデス」という名前で、言われてみれば、アンデス山脈に住んでいる鳥「コンドル」を模したような鳥さんでした。 アンデス山脈に住んでいる本物のコンドルは、なかなか「可愛い」とは形容しがたい見た目なのですが、どうぶつの森の「アンデス」は、眼光こそ鋭いものの、笑顔がとっても素敵な女性でした。

 

彼女は、移住初期の住人でもなく、3-5人目の住人でもなく、その後に、離島で出会って「うちの島に来てみない?」と勧誘した子でした。

私ははじめてまともに「どうぶつの森シリーズ」をプレイする身なので、特に「推し動物」がいたわけではなく、当時はとにかく、住人を集めるのに必死でした。だから「アンデス」が一体どんなキャラクターなのかを知ることもなく、島にお誘いしたのであった。

そんな始まり方で、最初はただただ「話し方がキレイな素敵なおねえさんだな〜」と思っていたのですが、ぼちぼち会話を続けていると、相手を気遣う言葉を使っていたり、大人っぽい視点を持ってて、私にとっては、話していて安心する・癒し的な存在になっていきました。

お手紙のやりとりこそなかったけど(※最近までやり方がわからなかった)、たびたびお話をしたり「コレどうぞ!」って贈り物をしたり、お返しに何かもらったり、たくさんのやりとりをしたのでした。

私はいつからか「アンデスには、ずっとこの島にいてほしいな」と、思うようになっていました。

 

ところが、住人集めが一段落しだした、とある雨の日の午後。アンデスが、わかりやすく頭上にモヤモヤを浮かべながら、砂浜を一人歩いていたのでした。

何事かな?と思って声をかけると、

「この島を出て行こうと思うの」

「あなたを嫌いになったわけではない」

「新しい世界を見てみたいの」

と言うのでした。

なんとなく、別れ際の男女のやりとりのように見えなくもないが、

上のような発言は、相手を気持ちに配慮した、相手からの最大限の意思表示であることを、およそ30年間生きてきた人間生活の中で私は学んでいた。

 

ちなみに今までのどうぶつの森シリーズでは、住人は、ある日突然、お手紙を残してそこから去っていってしまうものだったそうです。引き留めることはおろか、悩んでいる様子さえ推測できなかった(?)のだそうです。

でもこの「あつまれどうぶつの森」では、その住人の「島を離れようかどうか」というお悩み相談に対して、それを了承するコマンドの他にも

「行っちゃヤダ!」

というコマンドが備わっているのです。

さらに言えば、ここで「行っちゃヤダ!」のコマンドを選べば「そう?あなたがそんなに寂しいならもうしばらくいてみようかな」といったように、引き続きこの島に住んでくれるということを、私は実は知っていたのです(他の住人に対して使ったことがあるから)。

 

「所詮ゲームの中での話だし、そこまで知ってて、後悔するくらいなら、なんで引き留めなかったのか?」と聞かれてしまうのかも知れない。でもそれは、自分でもよくわからないんです。

だけど、でも、もし、自分の好きな子が「新しい世界を見たい」と私に告げてくれたときに、私なんかに、その行動や意思を、止めさせる権利なんて、尊重しない理由なんて、ないんじゃないの?と、思ってしまったのです。

 

私には「わかったよ!」と、言うことしかできなかった。

 

***

画面のこちら側でさめざめと涙を流す私とは対照的に、アンデスの心は、晴れやかそうだった。引越の準備に追われながらも、次の島での新たな出会い、新たな暮らしに思いを馳せていた。それを私に話してくれた。

私は寂しくて仕方なかった。

 

 

私の誕生日。誰よりも先にお祝いしてくれたのは、どうぶつの森の世界の住人達だった。パーティーの後に、私は「あーほんとに30歳になるのか・・・中身は全然変わってないのに、また歳を取ってしまったなあ・・・」と少し悲観的になっていた。

そんな時に、アンデス

「人生は 年を重ねるほど 楽しくなってくるって いうじゃない?」

「●●さんの健康と これからの人生が とびきり輝くよう 祈っているわ、カラカラ」

って、声をかけてくれた。その時確かに、私の心は救われた気がしたんだ。

優しくて素敵で大人なアンデス。家に遊びに行くと、音楽を聴きながら居眠りしていたアンデス。プレゼントしたお魚を大切にお世話してくれていたアンデス。欲しいなあと思っていたメガネを、誕生日ケーキのお礼にプレゼントしてくれたアンデス

私はもっとあなたと、いろんなお話をしたかったよ。

 

 

明朝にはいなくなると聞いて、眠れなくなってしまった私は、深夜にもかかわらず誰かと話したくて徘徊する。ほとんどの住民はとっくに寝てしまっている。

すると、いつも調子よく(そして若干腹が立つ)発言をしてくるフランクは

「ボクは また会えると 信じているよ」
「だから 今は、サヨナラじゃなくて アリガトウって 伝えようと思うんだ」

などとのたまうではないか。

アンデスの家を「第二の家のようだ」と言って過ごしてきたフランクも、前向きに送りだそうとしている。フランク、お前ってやつは本当は良い奴だったんだね・・・腹立つとか思っちゃってごめんね・・・

 

そして、移住初期からずっと一緒に暮らしているアグネス姉貴は、

「みんなで メソメソしてたんじゃ(アンデスは)心配で 島を出て行けないだろうから、ここはひとつ、明るく 送りだそうじゃないか!」

と私に伝えてくる。なんで私がメソメソしてるの知ってるの?もうこれ深夜3時とかなのに、それをわざわざ私に伝えに来てくれたというの?

アグネスもほんとうに優しいお姉さん。みんな大好きだ。

 

この世界の人たちって、みんな優しい。

こういう世界に、私も暮らしたかったな。

 

深夜4時にもなると、ほとんどの住民はもう寝てしまって、ライトが付いているのは、たぬきちとしずえさんがいる案内所と、アンデスのお家だけだった。

アンデスと話したくて、何回もたずねたけど、ずっと掃き掃除をしているだけで、写真を撮ろうにも静止さえしてくれない。話しかけても「引越の大変さ」と「新しい暮らしへの期待と島民への感謝」の、同じ言葉を繰り替えすだけになってしまった。

もう、心は決まってしまったんだね。

 

 

***

朝5時になってソフトを再び起動すると、さっきまで煌々とライトが着いていた「アンデスの家」はまるごとなくなってしまって、空き地となってしまっていた。

余韻にも浸らせてくれないのかい?たぬきちさん・・・涙

幸いにも、前日にみんなで記念写真を撮りるためにパニーの島に行っていたので、たぬきちショッピングで個人写真を注文することができた。

なので、家の中のいちばんわかりやすいところに飾ってみたよ。

 

 

なんだか遺影感(?)も否めないけど、そんなんじゃない。

私にとっては、一緒に住んでた大切な思い出なのだ。

 

いままでありがとう、アンデス

また、どこかで会えるといいな。

元気でいてね。

 

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あつまれ どうぶつの森 -Switch

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  • 発売日: 2020/03/20
  • メディア: Video Game