箸はともかく棒にはひっかかりたい

とある大学教員によるいろいろなメモ書き

ジュエリーをリモデルした話。

どうも、ざわこです。

この記事では、持っていた指輪のリモデルを依頼した時の経緯、その結果などを記録としてまとめておこうと思います。思いの丈を綴っていたら大変長くなってしまったので、結果だけ知りたい方は下の目次からジャンプしてください!

***

オーダーを決意するまで

おおよそ2年前のことですが、私は、私自身がアクセサリーを身につける理由を見つけました。 

tkzwy.hateblo.jp

私にとってアクセサリーは、自分を励まし、勇気づけるもの。

それからというもの、またどこかで運命の出会いを果たせるのではないかと期待して、日々を過ごしました。そしてついに「これだ!!!」と思えるルース(誕生石であるエメラルド)を、ネットストアで発見し、誕生日を期に、セミオーダーで指輪にしてもらったのでした。

しかし、実際に届いてみると、フェザー(またはフラクチャー)らしきものが、ルースの表面にまで達しておりました。商品説明の中でそんな注意書きはなかったような気がしたものの、そもそもエメラルドは内包物が多い石としても有名。ひょっとして自分が衝撃を与えてしまったのかも知れないし・・・などと考えると、石初心者の私には為す術がありませんでした。

使っている間に石が割れてしまうのが怖くて、「まあ記念に買ったのだし、壊れるリスクを背負ってまで身につけなくても(どこかに飾っておけば)いいかな・・・」と自分に言い聞かせ、ジュエリーケースに入れたまま、1年以上の歳月が経ってしまいました。

f:id:tkzwy:20210821144800j:plain

ルース下部にある巨大フェザー(フラクチャー?)。指で触れてわかるくらいのダメージがある。

だけどこのエメラルドは、初めて自分のために、自分で、一生懸命悩んで、選んで、やっとの思いで購入したルース。思い入れもあり、私にはどうしても身につけることを諦められませんでした。

そんな中で、藁にも縋る思いで相談したのが、Twitter界隈での有名ジュエラー、鈴木さまでした。

twitter.com

 

どのようにオーダーしたのか〜私の場合〜

ここから先は、鈴木さまのところでオーダー(相談)しようかどうか悩んでいるかもしれない人にも向けて、時系列順に、どのようにデザインをつめていったのかを(あくまで私の例ですが)、書き残しておこうと思います。誰かの何かの参考になれば幸いです!

1.思いの丈を鈴木さまにDMで相談

2021年6月下旬に、リモデルに関して初めての相談。内容として、今のジュエリーに関して、不便に思っている点、困っている点などを、言葉や、写真・動画を用いて説明しました。そして、リモデルの目的、すなわち、このジュエリーを、どのように使いたいのかを伝えました。私の場合、可能なら日常使いできるものにしたい、そしてそのためには「ルースの保護」が優先事項であるという旨を伝えました。

2.デザイン決め

2−1.石座

上記のようなことを伝えると、鈴木さまから「こうすると良いかもしれませんね」というお返事をいただきました。私の場合は、石にダメージがあるかもしれないことが最大の課題だったため、それに対応する手段として、ルースを物理的衝撃から保護をするための「覆輪留め」を提案していただきました。

優先事項を決めた後は、どのようなデザインを採用するかを決めていきました。ここでは、例えば、華やかなものがいいとか、シンプルなものがいいとか、かわいいものがいいとか、かっこいいものがいいとか、そのようなざっくりとした要望から、完成イメージの摺り合わせをしていきます。このときに、参考になりそうな画像等があると、イメージを共有しやすいようでオススメのようです(美容院でのオーダーに似ている感じがしました)。

私の場合は、華やかよりもシンプルなデザインが好みであること、ルースの「色」が好きなので、中石が暗くなりにくくしたいことを伝えました。その結果、石座を二段腰にすることを提案していただきました。また、この段階で中石のサイズもお伝えしました。

2−2.全体の雰囲気

気になっているデザインなどをどんどん伝えていき、詳細をつめていきます。私の場合、完全に自分の趣味を反映し、コンビリング(石座とアームで異なる地金を使う)にすることと、全体にヘアライン加工を施すことに決めました。もし、思い描いているイメージがある場合は、この段階で鈴木さまに質問をすると、できるかできないか、やるとしたらどういうものが想定されるか、おおよその加工費などを教えてくださるので、積極的にいくことをぜひオススメします。むしろ受け身でいると永遠に決まらないので、強い意志を持ってガンガン聞くと良いのかも知れません。

2−3.アーム(空枠)

ここまで話がつまってくると、鈴木さまが(おそらくここまでに話したデザイン案を採用できそうな)空枠を選んで、提案してくださいます。私は当初は金属だけのシンプルアームにするつもりだったのですが、提示していただいた枠がとっても素敵だったため、脇石にダイヤが入っているものにしました。

3.発送と見積もり、そして加工へ・・・

ここまでののことがおおよそ決まると、次は鈴木さまに現物を発送することになります。追跡できる宅急便等で発送することがオススメされます(保証などもついていますし)。

無事に鈴木さまのところに到着すると、加工に関する仕様書を作成してくださいます。仕様書の内容(サイズや地金の種類、実際に施す加工など)に、問題が無いことを、しっかりと確認します。その後、鈴木さまが工房の方との確認をおこない、最終的な見積りが算出されます。

このとき、元々の指輪の金属の買取を併せてお願いしたので、少しお安くしていただくことができました。

そして最後は、握りしめた札束を銀行口座に振り込むだけです。

ここまでが、7月初旬の出来事。やりとりは全てTwitterのDMのみでした。

例外的ハプニング

あとは完成を待つのみ・・・と思っていたのですが、加工が始まる前に、思わぬ連絡が入りました。どうやら「爪留めを外す時に石が破損するリスクがある」とのことでした。エメラルドは(もともとの石の性質からか)破損保証の対象外らしく、このままリスクを承知で加工進行するか、中止するかどうかを、改めて確認する必要があるとのことでした。

もちろんここでオーダーをキャンセルすることもできましたが、私からすれば、加工を中断したとしても結局は身につけられないリングが手元に残るだけとなってしまいます。それではそもそもオーダーを依頼した意味がない!と判断し、リスクを覚悟で加工をお願いする運びとなりました。職人さんには、難しい仕事をお願いする形になってしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。。。

また、無事に石を外すことができた場合、割れのリスクを最小限にするために「接着を併用しての覆輪留めをする」ということを改めて確認しました。

 

ついに完成!リモデルリング!

8月下旬、ついに、無事にリングが完成したとの報せが入り、現物が手元に届きました!

それが、こちらです!!!

 

 

f:id:tkzwy:20210822115645j:plain

上:リモデル前 下:リモデル後

 

f:id:tkzwy:20210822114956j:plain

正面。重ねづけなどもしやすいように、中石は横置きに(鈴木さまのご提案)。

 

f:id:tkzwy:20210822114959j:plain

脇石のダイヤは最高品質(ハートアンドアロー)。ちょっと緊張しちゃう…!

 

f:id:tkzwy:20210822115053j:plain

光をとり入れるための二段腰な石座。コンビリングやっぱり可愛い!

 

f:id:tkzwy:20210824230850j:plain

 

 

さいこう最高サイコウ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!

まず、幾度となく破損の危険に晒されながらも、加工や輸送の衝撃に耐え抜いて、無事に帰還してくれたという事実だけで感無量。最高。

そしてリング自体も、私の好みが全てつまったものとなりました。手作りの石座にすっぽり納まったエメラルドが愛おしい。光が透けて石座が緑色になっているのもかわいい。指を動かすとダイヤがキラキラするのもかわいい。最高。

覆輪留めにしたからか元の石の色よりも濃くなったように見えること、アームをゴールドにしたこと、キラキラのダイヤの存在などが影響してか、思っていたよりもエレガント感が増しました。ですが派手すぎるわけでもなく、とっても良い感じです。そして何よりも、リモデル前と比較して、安心感が爆裂に増加しました。これは本当に嬉しいポイントです。

にしても、細部を観察すればするほど、職人さんって本当にすごいな・・・ということを思い知らされますね。私の全力のありがとうを伝えたい。

そして、素敵なリングにするためのアドバイスやご提案をしてくださった鈴木さま、本当に本当に本当にありがとうございました!!!

 

リモデルをしてみた私の個人的感想

最初は、オーダーすること自体が「マジ敷居高い」という感じでした。やっぱり、ジュエリーは富豪が楽しんでいるというイメージがどうしても強かったですし、それこそブラッディダイヤモンド的な問題も頭を過ぎりますし、石そのものが有限な資源でもあるわけだし・・・という思いもあって、なかなか気軽に楽しめるようなものではないのかな、という考えでした。その一方で、好きなもの(鉱物や宝石など)に出会ってしまった時の高揚感は、なにものにも代えがたかったりして。自分の中で相反する気持ちに、モヤモヤすることも多々ありました。

ですが、今回の「リモデル」という経験を通して「今持っているものを、長く大切に使うこと」が、自分の中のわだかまりを解消しうるひとつの重要な手段なのかもしれないと思いました。

そして、既製品を買うこととは大きく異なる「オーダーの良いところ」は、自分の中の「大切にしたい」という気持ちを尊重してくれるジュエラーさんや職人さんが、自分の理想系を具現化してくださる点にあると思いました*1

今回リモデルした私のエメラルドも、大きな傷ができてしまっていて、きっとジュエリーの市場からしたら高価なものではないのかもしれないけれど・・・リモデルを通して「これからも大切にしていける」という道を作っていただけたことは、オーダーをお願いしたからこそ得られたものだと思います。感謝してもし尽くせないです。

f:id:tkzwy:20210824231033j:plain

ずっとジュエリーケースの肥やしになっていたけど(ごめんね)、毎日身につけたいし一生大切にしたいと思えるようになりました。これからよろしくね。

 

以上が私のジュエリーリモデル体験記でした! 

 

後記:鈴木屋さん推しポイント

自分でデザインの希望を出して、工房の方に加工してもらって・・・という初めての体験でしたが、鈴木さまに依頼して「おお〜!」と思ったポイントをいくつか挙げておこうと思います。相性が合いそうだなと思った方は依頼してみてもよいのではないでしょうか。

 

1.押し売りをしてこないところ

一般的な「営業」の方がしてくる(と想像される)、押し売りまがいのことが一切なかったのが大変驚きでした。「こちらはどうですか?」「これもどうですか?」みたいなものが、あって当然なのだと思っていたので、自分から能動的に、質問をしたり話をしたりしない限り話が進展しない(翻ると、こちらのペースで話を進めさせてもらえるということでもある!)というのは、とても興味深かったです。

今まで受け身で生きすぎていたのかも・・・もっと「買う」とか「依頼する」いう行為に積極的になっても良いのかも知れないと気付かされました。

 

2.「気軽に質問等をDMしてもいい」と公言されているところ

いつかのTwitterのスペースにて「オーダー等を結果的にしなかったとしても、気軽に質問等していただいて構わない」ということを言っておられ、初心者的にはとても安心しました。いつも忙しそうにしておられるので、こんな気軽にDMしちゃって良いものだろうか・・・と未だに悩むのですが、とりあえずは「もうやめて!」と言われるまではお世話になりたいと思います。もちろん、調べてわかる範囲でなら自分でも知識を身につけたいですけれども!

 

3.ストーリーを大切にしてくださるところ

フルオーダーではないとはいえ、リモデルもまた一端の準公務員の私にとっては全然安くない買い物でした。そして、いろいろと詳細を決めていくうちに「これだけこだわるのならば、せっかくならもっと良い(質が高いとされる)中石を使えばよかったんじゃないか」とか、そういう考えがどうしても頭を過ぎってしまうのでした。

ですが、鈴木さまは、私がオーダーに至った経緯をきちんと覚えて(記録して)いてくださり、「ルースの品質はそれぞれあるけれど、当時、ルースの色を好きになって、自分のために選んで手にした宝石なら、これからもずっと大切に身につけられるのではないか」「そこには確かに、当時の『好き』がつまっているのではないか」と言っていただき、ハッとさせられたのでした。同時に、鈴木さまに依頼して本当に良かったなと、心底思ったのでした。

 

かくして、鈴木さまは私にとって推しジュエラーさんとなったのでした。足向けて寝られないです、本当に。いつかコロナが落ち着いて直接お会いできる日が来たらいいな〜と、そんな願いを込めつつ、今日はこの辺で終わりにしたいと思います。

それでは、また!!!

 

*1:もちろん、既製品にもオーダー品にも、それぞれの良さがあることは承知していますが、購入する側の選択肢としてこういうものがあるというのを知れたのは、私の中での価値観が刷新されたように思いました