箸はともかく棒にはひっかかりたい

とある大学教員によるいろいろなメモ書き

【参加報告】3年ぶりに国際学会で口頭発表しました

こんちゃす〜!ざわこです!

新型コロナウイルスへの対策がおろそかになった緩和されたおかげで、3年ぶりに国際学会に参加することができました。今のところ体調はすこぶる元気で、感染は免れたかな〜?などと思っています(現地で行動を共にしたメンバーの一人は、がっつり感染していましたが)。

今回の記事では、参加した時に感じたことと、国際学会で新コロに感染しないためのTipsを紹介したいと思います!

某諸島。ヤモリがたくさんいて可愛かった

感想:教員としての振る舞い

学生として参加すること、教員として参加すること

2018年に学位を取った私は、新コロが流行る前までは「学生の延長として」のような心持ちで国際学会に参加していたような気がします。しかしながら、コロナ禍において様々な経験を経て、更には今のような職位を得て、それが「国際的なコミュニティから見たらどのような意味を伴うのか」ということを考えると、あまりにもおそろしく、プレッシャーも大きく、怖気立ちながら、泣きながら準備を進めることとなりました。

「できればここはボスの助けを求めたい…」と思う場面もありましたが、ボスはボスで「今の学生」のケアをする必要があって。それはボスが「過去の学生=かつての私」にしてくれたのと同じなわけでして。当時と同じように、寝食を削ってサポートする姿を見ていたら*1、私だっていち教員として「自立」する必要があるんだ!甘ったれんな!!!という感情もわき上がってきました。そして、どうにかこうにか、自分を鼓舞しながら、準備に取り組むことになったのでした。

「・・・いや、自立だなんて、そんなん卒業した時点でそうなるもんでしょ?当たり前でしょ?」と思う方もいると思うのですが、少なくともそれは私(たちのラボ)からしたら当たり前ではなかったのです。ボスの教えは、身分や立場は関係なく、メンバー同士が助け合うのは大前提でしたし、そもそも日本の学位取得システムの中で卒業した博士号取得者が、卒業後すぐに「十分な研究活動」を「たった独りで」できるわけがない・・・いや、より正しく言うならば、できる人もいるけど、まだまだ助け(教育的サポートを受ける時間)が必要な人はたくさんいる、というものであったのです。

そのような環境をつくってくださっているボスは、お察しの通り、大変に献身的なので、うまいことやれば、『私もまだサポートが欲しい』と言い続ければ、自立する責任から逃げれば、永遠にその「優しさ」を搾取することもできなくはないとは思うのです。

でも、私自身はそれを選択したくありませんでした。これは私の中に存在する小さなプライドなのかもしれませんが・・・発表を終えた今となっては、今回の「発表」に関しては、90%以上は自力でやり遂げたと思えていますし、これは私の中の自信につながっていくのだろうと確信しています(もちろんディスカッションは別でしっかりやっています)。

 

「学生を海外に連れて行くこと」に対する重み

学生気分で学会に行っていた頃と大きく異なった点、それは「引率として、学生を守る」ということでした。もちろん、私が望んで心がけたことではあるのですが、渡航中は気を遣う場面が多く、私の中でかなりのリソースが割かれました。

もしトラブルに巻き込まれたら、どう対処するか?貴重品を盗まれたら?パスポートを無くしたら?それを解決するとなった時、私の英語力は十分なのか?何かが起きてしまった時、身体の小さい私が、物理的にやりあえる勝算はあるのだろうか?

経験が解決する問題もあれば、そうでない問題もある・・・常に色々なことを考えていました。結局、全員無事に帰還したから良かったものの、これは今後も考えていかねばいけない課題だなと思いました。

最終日に立ち寄った大聖堂。美しかったなあ

休閑話題:とても嬉しかったこと

今回発表したデータについて「面白かった!近いうちに議論しようね!」と、言ってくださる方がいたことが、とても嬉しかったです。私自身、今回発表するデータが「(科学的に)面白い」ことは十分にわかっていたので、ちゃんと伝えられたのかな?と思うと、本当に頑張ってよかったなあ、と、心から思います。

ちなみに、直近で参加した国際学会はこちらなのですが(2019年!)、当時の私はこのような戯れ言を吐いておりました。

【参加報告】IMOG2019 - 箸はともかく棒にはひっかかりたい

自分で言うのもアレなんですけど(中略)いろんな人に「どうでしたか?私の発表」って聞くと、大体の人に「上手だった」って、言ってもらえるからです。
いや〜、これは嬉しい。確かに嬉しいことなんですよ。
だって、私自身が一番にコンプレックスを持ってた「英語」で発表をして、(原稿をチラ見しながらだったとしても)世界を舞台に活躍している研究者のみなさんに「上手だった」って言ってもらえたのですから。喜ばないはずがないじゃないですか。でもね。でもなんですよ。プレゼンの「スキル」が上がるのは、経験を積んでいたら当然じゃないのか?とも、思うわけです。
私が何に一番モヤっているかというと、感想の第一声として「(サイエンス的に)おもしろかったよ!」と、言ってもらえないような発表をしてしまった、という事実なんですよ。(中略)私はパフォーマーとしてでなく、サイエンティストとしてその場に立っていたはずなのに、それなのに「科学的な興味や面白さ」よりも「上手さ」の方が、際立っていたとすれば、それってサイエンティストとして何らかの敗北を意味するだろうと、私は思うのです。

このような苦い経験を踏まえた上で今回の経験を振り返ると、それは及第点以上であったと評価しても問題ないであろうと解釈しています。こうやって少しずつできることが増えていくのかな。自分の可能性がありすぎて楽しみだな!

早くディスカッションできる日が来ると良いな〜!

プレゼン中につけてた。私のお守りであり親友であり相棒。いつもありがとうね

 

学会で新型コロナウイルスに感染しないために

ところで、国際(国内も含む)学会でコロナに感染してしまう例が散見されますが、弊ラボから参加したメンバーは全員罹患せずに済んだように思われます。そこには、弊研究所の先人達の数々の犠牲経験に基づいた行動を取ったおかげなのですが、今回はそれを共有して、本投稿を締めくくりたいと思います。

1.ポスター会場ではマスクをせよ

口頭発表会場ならまだしも、ポスター会場で議論する人は、マスクを装備することを強く推奨します。なぜなら、当該会場の換気力を、私たちが予め知ることがほぼ困難であること、そして、会場全体で議論をおこなう→とにかくうるさくなる→皆が声をはる→飛沫が行き交うという構図が簡単に成り立ってしまうことにより、飛沫感染へのリスクが爆増する(と思われる)からです。

そういえば、ポスターやスライドに自分の顔写真を載せる人が増えた気がしますね。コロナ禍を経てからの変化のようにも感じますが、どうなのでしょうか。

2.ビジネスクラスを取れ

推奨する理由はシンプルで、他の乗客との個体間距離が取れるからです。

近頃の世界情勢的な理由もあり、フライト時間が長くなる傾向があります。また「機内の換気システムが整っている」とは言っても、もし隣の乗客がキャリアだった場合、図らずも受け取ってしまう可能性は高いです。

ビジネスクラスが無理だとしたら、エコノミーより1つ上のクラスを取る、それも無理なら乗客が少なそうな「不便な時間の便」をあえて選択する、それも難しければ、せめて食事が出ない時間はマスクに値する何か(口に当てられるもの)を装備することが重要なのではないかとおもいます。

 

こんなところでしょうか。最近まで時差ボケで仕事が全く手に着きませんでしたが、今週からは気合いを入れて色々挑んで行きたいですね!論文書くぞ〜!!!

そんなわけで、今後ともどうぞよろしくお願いします。

 

ざわこ

 

宿泊先ホテルのフロントにて(一番元気があった時)

*1:それが果たして良いことなのか悪いことなのかはまた別の問題