箸はともかく棒にはひっかかりたい

とある大学教員によるいろいろなメモ書き

ジュエリーをリモデルした話。〜祖父母のペアリング編〜


どうも〜!ざわこです。

この記事では、2度目のリモデルを依頼した経緯とその過程と結果をまとめておくために執筆いたしました。結果だけ知りたい方は下の目次からジャンプしてください!

「今あるモノを大切にする」リモデルという手段

だいぶ前になりますが、使いたくても使うことができない、思い入れのあるエメラルドのリングがありました。それを使える形に「リモデル」することを手伝ってくださったのが、Twitter界隈では有名な、ジュエラーの鈴木さまでした。

鈴木雄太(愛知の宝石鑑定士)💍鈴木屋💎 (@yutasuzuki0930) / Twitter

 

その時の詳しい話:
ジュエリーをリモデルした話。 - 箸はともかく棒にはひっかかりたい

たとえ自分が持っている石そのものに市場的な価値がなかったとしても*1、リモデルしていただいたこのリングは私にとっては宝物で、友達の結婚式や、授賞式、記念講演など、メモリアルな日には必ず身につけるような特別な存在になっています。

これです。最高でしかない

この経験を経て、鈴木さまおよび職人さんに対する信用度がカンストしてしまった私は、新たなるリモデルの相談をすることになったのでした。

 

祖父母のリングを活かしたい!その経緯

今あるものを大切にしたい…となった時に、先述した「エメラルド」のリングの次の対象として思いついたのが「祖父母のペアリング(推定)」でした。

 

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なぜ推定なのかと言うと、祖父母がこれを身につけている姿を見たことがなかったからです。私の幼き日の記憶が正しければ、祖母は私が幼い頃からずっと病院にいました。一方で、祖父が祖母のために毎日お見舞いに行っていた記憶は、強く思い出されるのです。

祖母が先に亡くなり、祖父が亡くなり、しばらく経った最近、実家に帰省した時に両親に見せて貰ったのが、これらのリングでした。祖父と祖母が、実際にこれらをペアリングとして身につけていたのかどうかは、私にも両親にもわかりませんでした。だけど、一緒に見つかったという事実は、どちらかが意図して一緒に保管していたからに他有りません。

きっと、二人はとても仲が良かったのだろうということが、改めて推察されたのでした。

 

もし私の考えが正しければ、そうだったとするならば、今のように持ち主不在で、そのうち地金として売り飛ばされてしまうよりも、リモデルすることによって私が継いで身につけることができたら、その方が祖父母もきっとよろこんでくれるのではないかな・・・と考えました。

孫(私)がジュエリー好きなばっかりに都合良すぎる解釈をしてしまいましたが、そもそも祖父は宝石商だったから多分隔世遺伝しただけで私は悪くないし・・・と、ほんのりと責任転嫁をしつつ(笑)、幸か不幸か両親や家族が貴金属にほとんど興味を持っていなかったこともあり、私が引き取るのが最適解ということで、リモデルすることを決意したのでした。

 

相談から加工発注まで

以上のストーリーを踏まえて、鈴木さまに相談しました。

完成系イメージのすり合わせ

前回は「どのような目的でリモデルするか」ということに焦点を当てていましたが、今回最もしっかり話し合ったのは「完成系イメージの摺り合わせ」でした。今回は前回のように枠があるわけでもなく、CAD等でデザインするわけでもなく、鍛造によって仕上げることが決まっていたので、そのあたりに少し難しさを感じました。

具体的に「ちょっと難しいなあ」と思ったのは

  • リング幅が最大●mmになりそうだけど、それを指に着けたときに大きすぎたり、違和感を感じたりしないかどうか
  • それを考慮した上で、号数をいくつとして設定するか

などといった項目に対して、私自身が自信を持って答えることができない、という点でした。もちろん鈴木さまが諸々の相談にのってくださいましたが、完成品を身につけるまでわからないというのがかなりドキドキしました。

最終奥義:最終的には職人さんのセンスに任せる

そして、私の場合は、脇石2つを持ち込み、中石1つを鈴木さまに手配してもらうことにしました。そして、脇石とのサイズバランスを決める作業をおこない、留め方をどうするか?という点について、ネットで探した参考写真等を用いながらすり合わせるという作業が続きました。

そして「最終的な調整は、職人さんの経験とセンスに任せたい」という旨を依頼しました。経験の少ない私が無理なオーダーをして変な仕上がりになるよりも、譲れない部分だけ提示して、あとはお任せする、という方が両者の負担が少ないと思ったからです。そして、結果的にその判断は大成功だったわけですが!

 

祖父リング:ビフォーアフター

Before

こちらがbefore。リングの縁が平べったいので、指輪をつけたまま拳を握りしめるなどすると、指が鬱血するというネガティブポイントがありました。

じっちゃんのリング。小傷などもあり趣深い。

 

できあがるまでの道のり、および注意点

じっちゃんの指輪が溶かされていく様子・・・

溶けていく様を見るのは少しもの悲しい・・・けれど、改めて「あ〜やっぱり金属なんだなあ!融点どのくらいなんだろう!?」などと考えるのも楽しかったです。そして受け皿となっている容器は何製なのか、1000℃を超えても溶けない素材として何が用いられているのか・・・とかも考えていました。笑

ちなみにこの溶かす過程、もし工場見学だったら迷わず見学したい派だったので、共有して下さったのはかなりうれしかったです!

 

鍛造されし祖父リング。結構なボリュームがあるんだなあ・・・

ここで注意点があります。もし溶かし地金でリモデルしようとした時、元々の地金の不純物が多いと、この段階でボロボロになってうまく固まらない、ということも起きるのだそうです。もしボロボロになってしまった場合に、次のステップとしてどのような手段が残されているのか私は把握していませんが、溶かし地金で加工を依頼する場合はそのようなリスクがあることをあらかじめ認識しておく必要がありそうです(少しでも考えている方はまず鈴木さまに相談しましょう!)。

ちなみに祖父母が遺してくれたリングはそれなりに質がよかったらしく、叩いただけでツヤがでたそうです。さすが元お金持ち(?)、いいモノもってんだなあ・・・(遠い目

 

指輪の気配を感じる・・・

だんだんと叩き伸ばされる祖父リング。既に指輪になる気配を感じますね!!!

After: 匠の技が光る最高リングになりました!!!

完成品が、こちらです!!!

「理想」と「最高」が具現化された!!!

うわーーーい!!!!!

私が好きなジプシーリング風デザイン、うるうるペカーッと輝くシングルカットな脇石、そして鈴木様に手配していただいたキラッキラの中石!!!

 

左上が元々のデザイン。加工によって、縁がいかになめらかであるか、おわかりいただけますか?おわかりいただけますよね!!!!!(これを内甲丸加工といいます)

リングの均一な厚み、光の穴の美しさ、整然と並んだ刻印・・・そして何よりも問題だった「付け心地の良さ」も兼ね備えた職人技の光るリングに生まれ変わり、物理的な強さも相まって日常生活で大活躍できるものに大変身したのでした!何と表現したらいいかわかりませんが・・・まるで指に吸い付くようなリングなのです。きっとこれも職人さんの超絶技巧の賜なのでしょう。

かくして、祖父のリングは私のリングとして生まれ変わることができたのでした!

 

鈴木さま、職人さま、および携わった全ての皆様、本当にありがとうございました!

そしておじいちゃん、どうか私のことを見守っていておくれよ。

 

当時のツイートおよびブログ紹介記事(引用)

 

ameblo.jp

 

次回は(気が向いたら)、祖母リングのリモデルについても紹介したいと思います◎

 

それでは、また!!!

 

 

*1:割れ等があるため